事例紹介2

事例2/事故か病気か・・・温泉入浴死の原因解明

夫婦で温泉旅行に行った際、ご主人が大浴場に浮いているのを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。急性心不全発作の疑いが溺死の原因とされているのに死因の種類が病死ではなく外因死のため、事故原因の調査を行うことになる。

救急隊員到着時、心肺停止状態で蘇生処置が行われ、吐水はあまりなかったが、搬送先の診断では急性心不全を疑うも、CT画像で胃部が白くなっているので溺死と判断された。
しかし、吐水が少量であることから、その前に別の原因で死亡した可能性があることが考えられた。死亡後のCT 画像を放射線科医に画像診断を依頼。

画像所見

1、胸部CTでは、胸骨に金属を認め、切除術後の所見を認める。冠動脈の著明な石灰化を認め、3枝病変の存在が疑われる。
2、画像上で胃の中に写っている水平線は水であるが、胃液でもこの程度は存在することがあり大量の水を飲んだ所見とはいえない。
3、また、小腸にはほとんど水はないようであり、気管内にも水を含んだ所見を認めない。

<結論>
死因に関しては、溺死を想定されているが、大量の水を飲み込んだ形跡はまったくない。したがって、水を飲み込む以前に心肺停止状態になったものと考えられる。
心臓には、虚血性心疾患が既往歴として存在したと思われるので、心筋梗塞による突然死が疑われる。

本事案のポイント

(1)画像から心臓冠動脈のバイパス手術後であること
(2)水を飲み込んだ痕跡が認められないこと
などがわかり、心筋梗塞による若しくは先行した死亡の可能性が高いケースであると確認された。胃部の白い部分は空気で、肺には多少の水は確認されたが、疾病先行の死であるというのが医学的に合理性が高いとの結果になり、損害保険では対象外になる旨をご遺族側にもご理解いただけ、円満解決にいたったという事案である。
本件は、画像の専門医である放射線科医で且つ、Ai(死亡時画像診断)にも精通した医師が診断を行うことで、より正確な情報を得ることができた事例である。